西園寺公望公とサンライズ・カクテル
ある個人が、奇遇ともいうべき出会いに感激して、相手に捧げるカクテルを創案する〜これは、カクテル史上時どき起こる粋な社交術だ。
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そんなカクテルが1919年に生まれている。
カクテル名は「サンライズ」。
これは、イタリアの文豪ガブリエ・ダヌンツィオが、日本の西園寺公望公に捧げたカクテルなのだ。
まずは処方を。ドライ・ジン6分の3、ボルドーの赤ワイン6分の2,ドライ・ベルモット 6分の1、オレンジ・ビターをごく少々。これをミックスして、カクテル・グラスに注ぐ、というもの。
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第一次世界大戦が終わった1919年。講和会議がフランスのヴェルサイユで開かれ、日本からの主席全権として、西園寺公が主席した。
西園寺公は、滞在中のある夜、パリの有名 酒場〈ニューヨーク・バー〉を訪れ、さけを愉しんでいた。そこに現れたのが、イタリアの詩人にして小説家、『死の勝利』で文名名高いダンツィオだった。二人は、互いに自己紹介し合ったあと話がはずみ、ダンツィオは西園寺公の健康と、日本の隆盛を祈念するためにオリジナル・カクテルを考案。みずからバーのカウンターに入れてもらって、上に挙げた処方のカクテルをつくり、西園寺公に捧げたという。
即席カクテルとはいえ、日本人に捧げるためにサンライズというカクテル名を選んだことに、ダンツィオの並々ならぬ国際感覚を感じることができる。
「洋酒うんちく百科」 福西英三著より
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私が好きなエピソード、カクテルでありまます。
先日、久しぶりに菊地と勉強しました。
「サンライズ」で調べると、「テキーラ・サンライズ」と同様に、オレンジジュースとグレナディンを使ったカクテルが出てきます。
これらもいいのですが、赤ワインを使って日の出を表現するというのもいいなと思えます。